タクシー会社に就職・転職する場合の選び方
タクシードライバーの仕事内容
タクシードライバーの勤務形態は、主に日勤・夜勤・隔日勤務の3つのタイプがあります。
日勤
朝から夕方までの時間帯に勤務する形態です。一般的な生活リズムで働くことができるため身体的な負担が少なくなります。
夜勤
夕方から早朝までの時間帯に勤務する形態です。深夜料金などが発生するため日勤帯で同じ時間働くよりも給料が高くなります。
隔日勤務
タクシー業界ではもっとも一般的な働き方で早朝から翌日の明け方ごろまで勤務する形態です。1回の乗務につき20時間程度(内3時間程度の休憩あり)勤務し、翌日は必ず休みとなります。1か月の勤務日数は11日~13日となるため休みが多く、しっかり働きながら体を休ませ、プライベートも充実させることができます。
隔日勤務の一日のスケジュール例
- 出勤
点呼・健康チェックを行い、車両点検や清掃を実施します。 - 出庫
営業所を出発し乗務開始です。電話やタクシー予約アプリ経由で予約を受けたお客様の送迎を行ったり、駅などのタクシー乗り場での待機、タクシーを走らせながら乗客を探す流し営業を行います。 - 昼休憩
昼食と休憩をとります。 - 乗務再開
時間帯によってタクシー需要が異なるため当日走行するエリアの人の流れやイベントの有無、天気など様々な情報を配慮して乗務します。 - 夜休憩
深夜帯の忙しい時間帯の前に夕食と仮眠休憩をとります。 - 乗務再開
深夜帯は割増し料金となる上、長距離のお客様も増えるため稼げる時間帯です。 - 帰庫
営業所へ帰庫し車両点検と清掃、その日の売り上げを会社に収めて退勤します。
タクシー会社に就職するメリット
タクシー会社に就職するメリットには以下のようなものがあります。
人間関係の悩みが少ない
タクシードライバーは、基本的に一人で車を運転するため、職場の人間関係の悩みが少ないという特徴があります。自分のペースで仕事を進めることができ、他の従業員との直接的なコミュニケーションが必要な場面も少ないため個人的なストレスを軽減できるでしょう。
時間に融通が利く
タクシードライバーの休憩時間の取り方は自分で決められるため、勤務時間が細かく決められている会社員よりも時間に融通が利きますし、日勤・夜勤・隔日勤務という勤務形態の選択肢もあるため自分のライフスタイルに合わせて働くことができます。特に隔日勤務の場合は休日も多いためプライベートや家族との時間を確保することができます。
好きな土地で働ける
タクシードライバーの職場は、どこの地域にも存在し基本的な業務は共通であるため自分の好きな土地で働くことができます。生まれ故郷や好きな街などであれば自分の経験や知識を活かすことができます。
タクシー会社に就職するデメリット
タクシー会社に就職するデメリットには以下のようなものがあります。
生活リズムが不規則になる恐れがある
タクシードライバーの仕事は、長時間の勤務や夜間・早朝などの時間帯に働くこともあるため、生活リズムが不規則になる可能性があります。休憩時間や休日にしっかり体を休むことを心がけることで徐々に順応していくことができるでしょう。
乗客とトラブルになるリスクがある
タクシードライバーは、様々な人と接する仕事です。丁寧な応対を心がけることである程度のトラブルは避けられますが、時にはお客様との言葉の衝突や要望の食い違い、支払いトラブルなどが発生する可能性がありストレスや危険を感じることもあります。
収入が安定せず、格差がでる可能性がある
タクシードライバーの給与体系は歩合制という自分の売上げによって給与が変動する給与制度が多いため、タクシー需要や走行距離によって大きく収入に差が生じます。ただ、自分のがんばりが収入に反映されるという魅力があり、自分なりに走行エリアの情報を収集しより稼働率が上がる方法を模索することで高収入が得られる可能性もあります。
タクシードライバーの平均年収
令和3年賃金構造基本統計調査によるとタクシードライバーの平均年収は370万円程度となっていますが、就職する地域や勤務形態によって大きく差があるため年収は300万円から600万円程度となっています。
タクシードライバーとして収入を上げるためには、以下のような工夫が有効です。
乗客を拾いやすい場所を把握する
タクシー需要の高いエリアや繁華街、駅周辺など乗客が集まりやすい場所を把握しましょう。地域の特性や時期に合わせて、需要のある場所やイベント会場などを把握することで効率的に乗客を拾うことができます。
空車時間を減らす
空車の時間は収入がないため空車時間を減らすように工夫することで収入を上げることができます。渋滞の少ない時間帯やルートを把握し、カーナビゲーションシステムを利用しながら効率的に乗務することが効果的です。
乗客へのサービス向上に努める
乗客に対して丁寧な接客や安全運転を心掛けましょう。良い評判や口コミが広がることでリピーター客や紹介客が増え、需要が拡大する可能性があります。
これらの工夫を凝らすことで収入を上げることが可能ですが、各地域の特性や天候状況によって異なるため走行エリアの需要や状況を把握し適切な戦略を立てることが重要です。
タクシードライバーに向いている人の特徴
タクシードライバーに向いている人には、以下のような特徴があります。
運転が好き
タクシードライバーは、長時間の運転が求められる仕事です。運転が好きであり車を運転することに興味や喜びを感じる人が向いています。また、道路交通法を守りながら安全かつ快適な運転ができることが重要です。
自己管理ができる
タクシードライバーは、自己管理能力が求められます。運転時間や休憩時間、売り上げなど自分自身で乗務中のスケジュールや健康管理をしっかりと行う必要があるため、時間の管理や体調管理をきちんと行える人が向いています。
気配りができる、コミュニケーション能力が高い
タクシードライバーは、様々な乗客と接する仕事です。乗客の要望やニーズに対して敏感に気づき・配慮することが重要であり、丁寧な接客や心地よい空間づくりを心掛けることでお客様の満足度を高めることができます。また、お客様との円滑なコミュニケーションを図ることで信頼関係を築きサービスの向上につなげることができますので、聞き上手であり、適切な会話を通じてお客様とのコミュニケーションを楽しめる人が向いています。
1人でも楽しく働ける
タクシードライバーは、1人で車内にいることが多いため、自己満足感や1人での楽しみ方を見つけられることが重要です。自分自身と向き合い1人の時間を充実させることができる人が向いています。
上記の特徴を持つ人は、タクシードライバーとしての適性が高いです。ただし、それぞれの特徴は努力や継続的な学習によっても向上させることができます。
タクシードライバーになるには
タクシードライバーになるには「普通自動車第二種免許」の資格が必要です。この免許は、「普通自動車第一種免許」を取得してから3年以上経過している必要があります。その上で教習所にて運転技術や交通法規などを学び試験に合格することで取得できます。自分自身で取得することもできますが、ほとんどのタクシー会社では、入社後に「普通自動車第二種免許」の取得をサポートする制度があります。入社後に会社が指定する期間や条件で免許を取得し、免許取得後にタクシードライバーとして勤務することが可能です。
ここまで、タクシードライバーの仕事や資格についてご紹介しましたが、全国にある様々なタクシー会社から自分が身を置く最適な1社を見つけるためには、会社ごとの特徴を理解して、自分に合う会社を選ぶことが大事です。
タクシー会社選びに迷ったときは、以下のようなポイントに着目しながら、応募先を検討してみると良いかも知れません。
会社の規模で選ぶ
タクシー業界にももちろん様々な規模の会社があります。大手、準大手、中小、それぞれにメリットとデメリットがあるので、入社を決める前に良く理解しておきましょう。
大手企業・準大手企業
例えば東京都には、大和自動車交通、日本交通、帝都自動車交通、国際自動車(kmタクシー)の「大日本帝国」と呼ばれる大手四社が有名です。その他にグリーンキャブ、東都自動車、日の丸自動車という準大手が続きます。
タクシー大手求人を選ぶメリット
大手のタクシー会社であれば福利厚生や教育環境、研修制度が充実している傾向があります。また知名度も高いため、無線配車やアプリ配車の件数も多く比較的安定して売上をあげやすいインフラが整っている傾向がある点がメリットです。さらには会社基盤が安定していることから景気の影響に伴うリストラや倒産などのリスクは小さいです。そのタクシー会社専用の乗り場や、法人顧客が居てタクシーチケットの利用が多いなども会社によってはあります。
タクシー大手求人のデメリット
求職者からの応募が多く採用基準や採用倍率が高い傾向があるほか、入社後研修があるとはいえ接客接遇の基準は比較的高いといえます。そのため、面接時点でも身だしなみや言葉遣いをしっかり見られる企業が多く、その観点で見送りになってしまう場合があります。また就業や稼働に関する規律やルールも中小よりは厳しくなるため、自由度高く働きたいと思われている方にとっては窮屈な環境に感じられる場合があります。
中小企業
タクシー中小求人を選ぶメリット
中小規模のタクシー会社は、歩率が高い企業(後述)があり自分の実力次第では大手よりも稼げる環境がある会社があります。また、従業員数が少ないゆえにいわゆるOJT研修が発達している傾向があります。先輩後輩の関係性が深かったり、従業員一人ひとりをしっかり面倒見てくれる傾向があるようです。さらに、大手企業のように細かい規程やルールが無い場合は、比較的自由度の高い働き方をできる会社も中にはあります。特に中小の場合、そのタクシー会社独自の社風が会社のルールに反映されており、ガツガツ流しで稼ぐのが苦手な方や、ノルマのプレッシャーに弱い方、日勤のみや定時など、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるなど、それぞれ独自の特徴があるので、良く見てみることをおすすめします。
タクシー中小求人のデメリット
体系的な教育・研修制度という意味では大手の方が整っている傾向はあります。また無線やアプリ配車の設備が不十分な会社の場合、先輩にどのようにしたら稼げるか聞くなどしながら職人技のように足で稼ぐテクニックを身に付ける必要がある場合もあります。ただこの点は一概にデメリットともいえず特徴の一つと考える方が良いでしょう。
タクシー会社大手に関する勘違い
タクシーの求人転職に関するご相談で良くある勘違いは、
- 大手タクシー会社の方が給料が高い
- 大手タクシー会社の方が歩率が高い
- 大手タクシー会社の方が無線配車が多い(稼げる)
- 大手タクシー会社の方が福利厚生が充実している
などが挙げられます。しかしながらいずれも一概にそうとは言えません。例えば歩率は中小企業の方が高いケースは多々あります。歩率は高い方が営業売上に対する乗務員収入が高くなりますので、歩率が高い理由で大手でなく中小を選択される方は特に経験者(現任)の方は多いです。
無線配車件数やアプリ配車件数は大手タクシー会社の方が多いことは事実ですが、この件数が多ければ稼げるかというとそうとは限らないという点を認識しておく必要があります。それは大手タクシー会社ほど稼働しているタクシー台数も多いことになり、1台のタクシーが受けられる無線配車件数に依るところがあるためです。
福利厚生については、総じて大手企業の方が充実している傾向にあることは間違いないですが、中小企業でも似た設備・制度が充実しているところは多くあります。中小企業だからと食わず嫌いせずに、良く見てみることをぜひおすすめします。
関連記事 タクシードライバーの給与体系・仕組み
関連記事 タクシードライバーの給料・年収・手取りについて
関連記事 タクシー運転手が高収入を得るコツや稼ぎ方とは?【徹底紹介】
歩合率の高さで選ぶ
給与面に重きをおいて考えるのであれば、歩合率が高い会社を選ぶのがおすすめです。タクシードライバーの収入は基本的に歩合制なので、歩合率の高さによって売り上げから得られる給料が変わります。
万が一の補償の充実度で選ぶ
タクシー会社を選ぶうえで、万が一の際の補償はとても重要なことです。具体的には稼働中に事故に遭ってしまった場合です。安全運転を心がけていても、いつどのタイミングでトラブルが起こるかは分かりません。万が一の事故や故障でも、しっかり対応、補償してくれる会社を選んでおくことで安心して働くことができます。
主となる営業エリアで選ぶ
そのタクシー会社が得意としている営業エリアも重要なポイントです。例えば東京都内でも新宿駅や品川駅などのターミナル駅付近で営業をするのと、郊外やロードサイドのショッピングモール付近で営業をするのとでは、稼ぎ方が全く異なります。自宅からタクシー会社のアクセスが良好であっても、タクシー会社の車庫から主な営業エリアまで行くのに時間が掛かっていては実質的な稼働時間が減ってしまい期待したとおりに営業売上をあげられないなどのケースが発生する場合もあります。この辺りも良くチェックしておく必要があります。
会社の立地で選ぶ
会社の車庫の立地も重要なポイントです。車庫が家から通いやすいところにあれば、通勤に時間をかけることなく、通勤のストレスも減らすことができます。また車庫が街の中心地に近いところであれば、始業後すぐにお客様を乗せられる可能性があり、効率よく売り上げを上げることが期待できます。多くのタクシー会社は仮眠室や浴場を備えています。会社と家の距離が遠い場合でも、そのような設備を上手に使うことで体を休められ、効率よく時間を使うことができます。
タクシー会社を選ぶポイントは様々です。一概にこれがよいという条件はありません。よく会社を比較して自分に合う会社を選びましょう。また、各タクシー会社のメリットやデメリットは求人サイトの文章だけではわかりにくいものですので、転職をお考えの方は、ぜひ弊社担当アドバイザーへご相談ください!
ドライバーズワークの公式ウェブサイトであるタクノート -タクnote- では、タクシーに関連する様々なコラムを豊富に取り揃え、タクシードライバーとしての知識やスキル、業界の最新トレンドなど貴重な情報を提供しています。ぜひタクノートを利用して、あなたのタクシードライバーとしてのスキルや知識を向上させましょう!
未経験歓迎の求人
未経験歓迎の求人一覧はこちら
大手企業の求人
大手企業の求人一覧はこちら
タクシードライバーへの転職で失敗しないために
タクシードライバーの求人をお探しならドライバーズワークにご登録・ご相談ください!ドライバーズワークは東京・神奈川・愛知・大阪などの関東・東海・関西エリアを中心としたタクシードライバー(運転手・乗務員)求人サイトおよび転職支援サービスです。タクシー業界に特化した詳しい求人情報が満載!ご登録はかんたん1分無料!タクシー業界の知識量も豊富な、専任のキャリアアドバイザーが一人ひとりの担当に付き、転職にまつわるあなたのお悩みにお答えするだけでなく、転職をするべきなのかどうか、転職をする場合にどういった基準で会社選びをすれば良いか、などを一緒に考え丁寧にお伝えします。まだ転職するかどうかを迷っている段階の方も大歓迎ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
関連記事
知識の人気記事
よく読まれている記事
- 知識
【地理試験の疑問】過去問・テキストの入手方法や受験場所・時期!タクシードライバーになるには必要?
【重要】2024年2月29日付で、東京都、神奈川県、大阪府で「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」...
- 知識
タクシー運転手になるにはどんな資格が必要?ドライバーの条件とは
【重要】2024年2月29日付で、東京都、神奈川県、大阪府で「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」...
- 知識
タクシードライバーの勤務体系・勤務時間を勤務スタイルの例で徹底解説!
みなさんが普段見かけるタクシーは朝も夕方も夜中も走っており、いつ休んでいるのかと思うほどどの時間帯で見かける...
- 知識
タクシー車内で飲食しても良い?守るべきマナーも紹介
タクシーにまつわるマナーの1つに、タクシーの車内で飲食することの是非があります。今回はタクシー車内での飲食に...
- 知識
タクシーに自転車は乗せられる?自転車を積む方法と運ぶ際の注意点
趣味で自転車に良く乗る方や、自転車で通学・通勤をしている方にとって、途中で自転車に乗れなくなってしまった場合...
- テクニック
道を覚えるコツ・効率的な道順の覚え方とは
タクシードライバーには必須だが難しい!『道を覚える』 乗客の皆さんは、タクシーに乗る際タクシードライバーは...
タクシードライバーについて知る
他のコラム内カテゴリもチェック!
キャリア
タクシードライバーとして仕事をするにあたってのお役立ち情報をご紹介します。タクシーエンタメ
タクシー業界に関連する面白いエピソードや、エンターテイメント情報をご紹介します!タクシーニュース
タクシー業界や運輸業界に関する新着ニュースをご紹介!タクシーの種類
利用シーンによって様々あるタクシーのサービス形態をご紹介します!テクニック
タクシードライバー(運転手)としてのテクニックにまつわる情報をお届け!無線グループ
大手グループから地域密着のグループまで!無線グループの特徴をご紹介します。Q&A
タクシー業界やタクシードライバーに関するよくある質問にお答えします!知識
タクシー業界にまつわるトリビアや豆知識情報をご紹介します!