介護タクシーの開業は可能?自営介護タクシーの年収とは
介護タクシーを開業するためには、特定の資格や免許、そして一定の要件を満たす必要があります。
免許と許可
運行許可と指定
介護タクシーを開業するには、国土交通省の各運輸局から運行許可を取得し、介護保険事業所として指定される必要があります。
設備要件
【営業所または事務所】
営業区域内に、3年以上使用できる休憩室や仮眠室のある営業所または事務所を持つ必要があります。営業区域は都道府県ごとに設定されています。
【法令遵守の土地と建物】
建築基準法、消防法、農地法などに違反しない土地と建物を用意する必要があります。ただし、農地は使用できません。
【車両関連】
車両と車庫には、一定のスペース要件があります。福祉車両(リフトやスロープを備えた車両)が少なくとも1台必要です。車両の年式は問われず、軽自動車でも使用できます。
資金的要件
開業に必要な資金以上の資金を、申請日以降常に確保しておく必要があります。通常、所要資金の半分以上を確保しておくことが推奨されます。
介護系の資格
介護保険が適用されない場合には、特別な介護系の資格は必要ありませんが、それでも一部の資格を取得しておくことは役立つ場合があります。一方、介護保険が適用される介護タクシーの場合、次の3つの資格のうち、どれか1つを取得する必要があります。
・護職員初任者研修修了者
・介護職員実務者研修修了者
・介護福祉士
開業するまでの手順
普通自動車二種免許の取得
運転者として、普通自動車二種免許を取得します。
介護系の資格の取得、研修準備
適用される場合、介護職員初任者研修や介護福祉士の資格を取得または受けるための準備を行います。
開業に必要な資金の調達
開業に必要な資金を計画し、確保します。車両の購入、事業運営に必要な経費などを考慮します。
必要な施設条件を満たす
営業所や車庫、福祉車両など、設備要件を満たすために必要な施設や車両を整えます。
介護タクシー事業の許認申請および許可手続き
地元の運輸局などに対して、介護タクシー事業の許認可申請を行い、許可を取得します。
登録免許料の支払い
開業に必要な登録免許税を納付します。
運賃体系と契約条件の承認申請
運賃体系やサービス提供に関する約款を運輸局に提出し、認可を受けます。
福祉向け車両の調達
福祉車両(リフトやスロープを備えた車両)を入手し、整備します。
運行開始の通知書の提出
運輸開始届を提出し、介護タクシーの運行を開始します。
介護タクシー開業年収は?
介護タクシーの自営について考えると、収益と年収は多くの要因に左右されます。まず、収益は営業エリアや需要に大きく依存します。高齢者や障害者の多い地域であれば、需要が高まり、収益も増えるでしょう。
一般的な介護タクシードライバーが施設で正社員またはパートタイム職員として働いている場合、平均年収は約299万円程度です。転職と比較すると、独立開業はハードルが高くなりますが、収入を大幅に増やす方法の一つです。介護タクシードライバーが正社員として働く場合の平均年収は約250万円ですが、独立開業すれば年収を400万円から450万円程度まで増やすことができるでしょう。年収1,000万円を目指す場合、需要の高い地域で事業を展開し、複数のタクシーを運営する必要があります。ただし、個人ドライバーが単独で年収1,000万円を達成するのは難しいでしょう。経営者になり、従業員を雇用し、複数台の介護タクシーを導入することで、目標の年収を達成する可能性が高まります。要するに、収益や年収は地域や経営のスケールに大きく依存し、事業の拡大によって高い収入を得ることが可能です。
開業するメリット
将来性と需要の増加
介護業界は今後も成長が期待される分野であり、需要が増加し続ける見込みです。この点は、安定性を保つために大きなメリットです。
繋がりと安定的な仕事
介護タクシードライバーは利用者や送迎先の施設と密接な関係を築きやすい職種です。仕事上のコミュニケーションが深まることで、安定した仕事がもらいやすくなります。信頼を築くことが収入の安定につながります。
やりがいと低いストレス
通常のタクシードライバーと比較して、介護タクシードライバーは顧客との距離が近いため、仕事にやりがいを感じやすいです。同時に、常に同じ顧客を送迎することが多いため、ストレスも低く抑えられることが一般的です。さらに、サービス精神が高まり、達成感を味わいやすい点も魅力です。
開業するデメリット
開業資金の必要性
介護タクシー事業を始めるには、車両購入費や車両の保管費、人件費、営業所の賃貸費など、多くの費用が発生します。開業時点で最低でも約250万円の資金が必要です。
経理と手続きの負担
開業後、経理や各種書類の手続きなどはすべて自己管理する必要があります。経験がない場合、これらの業務は初めは面倒くさいと感じるかもしれません。外部の専門家に依頼することも考えられますが、余分な費用がかかります。
信頼関係の築き方
介護タクシードライバーは、利用者の健康状態や障害に関する理解が必要です。初めての利用者との信頼関係を築くのは容易ではなく、時には怒りや不安を表現されることがあります。初期の段階ではストレスを感じることもあるでしょうが、辛抱強く、誠実な対応が信頼を築くために重要です。
介護タクシーの開業で申請できる補助金
福祉タクシー車両導入促進事業費補助金
対象:神奈川県内で運送を行う福祉有償運送事業者など
概要: 高齢者や障がい者の移動を支援するために、福祉タクシー用の車両購入費用の一部を補助する制度です。補助金額は条件に応じて異なります。
小規模事業者持続化補助金
対象:小規模事業者
概要:地域の商工会議所や商工会議所の助言を受けて経営計画書を作成し、計画に従った販売の開拓を行う場合の費用の3分の2を補助する制度です。上限は50万円です。
新潟県次世代タクシー等導入促進事業補助金
対象:新潟県内のタクシー事業者
概要:脱炭素社会の実現や高齢者などの移動手段の確保を促進するため、次世代タクシー(電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車)を購入する際の経費の一部を県が負担する制度です。
介護保険タクシーの条件
運転手の資格
介護保険が適用される介護保険タクシーは、「介護職員初任者研修」などの介護資格を持つ運転手が必要です。業務内容に利用者の介助も含まれるためです。
法人の設立
介護保険タクシーを運営するためには、訪問介護事業所を設立する必要があります。個人では開業できません。訪問介護事業所を設立するには、「非営利法人」または「営利法人」を設立する必要があります。法人形態の選択肢には「NPO法人」「合同会社」「株式会社」などがあります。
訪問介護事業所の指定
運営する法人は、都道府県や市町村に対して訪問介護申請書類を提出し、指定を受ける必要があります。申請書類や申請方法は地域によって異なります。指定を受けるには、いくつかの基準を満たす必要があります。
【資金的要件】
所要資金の合計額の50%以上、かつ、事業開始時に必要な資金の100%以上を、申請日以降、常に確保している必要があります。
【人員的要件】
最低でも2人以上の従業員が必要です。
まとめ
介護タクシードライバーとしての独立開業は、年収を増やす一つの方法であり、多くのメリットとデメリットを伴います。メリットとしては、介護業界の将来性が高く、需要が安定していること、利用者や施設との信頼関係を築きやすく、やりがいを感じやすいことが挙げられます。また、経営者として自己資本を活用し、収入を増やす機会もあります。
一方で、デメリットとしては、開業には多額の資金が必要であり、経理や手続きの負担があること、信頼関係の築き方が難しく、初期はストレスを感じることがあることが挙げられます。これらのデメリットにも対処しながら、慎重に計画を立て、開業を検討することが重要です。
介護タクシードライバーとしての独立開業は、将来性のある職業であり、経済的な安定を追求する人にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。成功にはリスクを取りながらも、確実な準備と対策が不可欠です。
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