タクシードライバーの保障給・最低賃金について
多くのタクシー会社では、タクシー運転手個人の営業売上に基づき給与を支給する歩合制を採用しています。しかし、営業売上が著しく低かった場合の収入はどうなるのか?と不安に思うケースもあるかと思います。こちらではタクシー運転手の保障給、最低賃金についてご紹介します。
タクシー運転手の保障給とは
保障給は、主に新入社員やタクシードライバー未経験の方を対象にした給与制度であり、営業売上に関係なく所定の給与を保障して支給する仕組みであり、給与保障とも呼ばれる制度です。タクシー会社の多くは給与体系が歩合制であり、経験を積むほど営業成績があがりやすくなるので、収入も増加する傾向にはあります。しかしながら、新人はいきなり路上に出てもなかなか営業売上を安定してあげることが難しい場合もあり、収入が少ないまま1年、2年とかかってしまっては再度転職を考える原因にもなります。
保障給があることで、新人タクシードライバーは営業売上が良くなくても所定の給与が保障されるため、売上を伸ばすための勉強やスキル研鑽を焦らずに行うこともできます。保障給は新人タクシードライバーが安心して一人前のタクシードライバーを目指せる仕組みなのです。
保障給と最低賃金との違い
保障給と最低賃金の主な違いは何でしょうか? 最低賃金は、各都道府県が設定した最低賃金レベルに基づいて、労働者が労働した日数や時間に応じて支給される最低給与を規定する制度です。最低賃金は通常、時間給として計算されます。
一方、保障給はタクシー会社ごとに異なる最低給与額を設定します。労働基準法によれば、保障給は最低賃金を上回る必要があるため、どのタクシー会社でも最低賃金額以上の収入を確保できます。一部の高品質なタクシー会社では、最初から高額の保障給与を提供することもあります。
タクシー会社でも最低賃金が保障されている
完全な歩合制度を採用する会社であっても、各都道府県の最低賃金基準に従い、労働者に最低限の給与を支払う必要があります。そのため、売上が限られているドライバーでも、最低賃金水準に合致した給与を受け取ることができます。
通常、一般的なタクシー会社では、労働時間に応じて最低賃金に該当する給与が支給されるため、歩合制度が採用されているとしても、労働者は一切の収入を得られないわけではないことに安心できます。
タクシー運転手の最低賃金について
最低賃金制度
最低賃金制度は、国の法律に基づいて、労働者に支払わなければならない最低の賃金を規定する制度です。この制度では、国内の各都道府県ごとに、地域ごとに異なる最低賃金額が設定されています。また、特定の産業にも適用される最低賃金が設定されています。
労働者と雇用主が合意しても、最低賃金以下の賃金を支払うことは法律で認められておらず、無効とされます。そのため、最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。最低賃金未満の賃金しか支払った場合、差額を支払わなければなりません。また、最低賃金以上の賃金を支払わない場合、罰則(最大で50万円の罰金)が科せられることがあります。
タクシー運転者に適用される最低賃金額
タクシー運転者には、地域ごとに異なる最低賃金が適用されます。無論、賃金制度が「固定給+歩合給(出来高払)制」である場合や、完全な「オール歩合給制」である場合でも、1時間当たりの賃金額が、各都道府県で定められた最低賃金を下回らないようにする必要があります。
実際の賃金と最低賃金との比較方法
【完全歩合給制の場合】
歩合給の時間当たりの賃金額は、歩合給を得るために働いた総労働時間(所定労働時間と時間外労働時間を合算)で割って計算されます。具体的な計算式は次の通りです。
歩合給の時間当たりの賃金額 = 歩合給 ÷ 月間総労働時間
重要なのは、この時間当たりの賃金額が、地域別最低賃金額以上であることです。所定労働時間ではなく、全ての労働時間を考慮して計算されるため、労働者の実際の収入が最低賃金要件を満たしているかどうかを確認する際に適切な方法です。
【固定給+歩合給制の場合】
固定給と歩合給、それぞれの時間当たりの賃金額を計算し、それらを合算したものが時間当たりの総賃金額となります。ただし、固定給の中で精皆勤手当、通勤手当、家族手当などの要素は除外されます。
時間当たりの総賃金額 = 固定給の時間当たりの賃金額 + 歩合給の時間当たりの賃金額 =(固定給 ÷ 所定労働時間) +(歩合給 ÷ 月間総労働時間)
この時間当たりの総賃金額が、地域別最低賃金を上回っていれば、法的要件を満たしていることになります。
まとめ
最低賃金は、日本の都道府県ごとに設定される最低の労働者賃金水準を指します。この制度は、労働者が最低限の生計を立てるために必要な給与を保障するために存在します。都道府県によって最低賃金は設定が異なり、地域の経済状況や生活費に合わせて調整されます。通常、最低賃金は時間給の形で計算され、労働者が働いた時間に応じて支給されます。
この制度は、労働者の権利を保護し、生活水準を最低限確保するために非常に重要です。タクシー業界においても、労働者は最低賃金基準に従って最低限の給与を受け取る権利を持ちます。たとえタクシー業界が歩合制度を採用していたとしても、労働時間に応じて最低賃金水準以上の給与を支給しなければなりません。
一部のタクシー会社では、新人や売上の低い地域で働く労働者に安定した収入を提供するために、保障給制度を導入しています。この制度は、最低賃金を下回らないように設定され、労働者にとって収入の安定性を確保する役割を果たします。要するに、最低賃金は労働者の権利を保護し最低限の生計を立てるための基準を提供しており、タクシー業界でもこの基準に従うことが求められています。
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