個人タクシー経営者になるには?事業者になる条件とは
個人タクシー経営者になるには
個人タクシー経営者になるためには、新規許可と譲渡譲受の2つの方法があります。
新規許可の取得
個人タクシー経営者になるための第一歩は、新規許可を受けることです。この方法では、営業区域ごとに許可に関する詳細情報が地方運輸局で公表されています。以下のステップで進めると良いでしょう。
- 営業区域の確認: 希望する地域の営業区域を確認し、管轄する地方運輸局のウェブサイトや連絡先を探します。
- 資格要件の確認: 許可を受けるために必要な資格要件を確認します。これには運転免許証や健康診断などが含まれます。
- 申請手続き: 詳細な申請手続きに従い、必要な書類や情報を提出します。地方運輸局の指示に従うことが重要です。
- 試験日の確認: 試験日程を確認し、試験に備えて勉強やトレーニングを行います。
- 認可の取得: 資格要件をクリアし、試験に合格したら、個人タクシー経営者としての認可を受けることができます。
譲渡譲受の方法
もう一つの方法は、既存の個人タクシー経営者から事業の譲渡を受けることです。以下のステップを追って進めます。
- 譲渡譲受契約の締結: 譲渡人と譲受人が事業の「譲渡譲受契約」を結びます。この契約には詳細な取引条件が含まれます。
- 譲渡譲受認可申請: 譲渡人と譲受人は、地方運輸局に譲渡譲受認可申請を提出します。申請書類は正確に記入し、必要な情報を提供します。
- 資格要件の満たし: 譲渡譲受に関しても、個人タクシー経営者としての資格要件を満たす必要があります。
- 認可の取得: 地方運輸局が譲渡譲受申請を審査し、承認した場合、譲受人は事業を引き継ぐことができます。
どちらの方法を選ぶにせよ、資格要件を確認し、地方運輸局の指示に従うことが成功の鍵です。個人タクシー経営者になるためのステップを着実に進め、成功を目指しましょう。
個人タクシーの資格・条件
個人タクシーを運営するために必要な資格と条件は、国土交通省の規定と各地方運輸局の審査基準に基づいています。具体的な条件は地域によって異なる場合がありますが、一般的な資格要件としては次の通りです。
年齢条件
申請日時点で65歳未満であることが必要です。
運転免許条件
有効な第二種運転免許(普通免許または大型免許)を持っていることが必要です。
運転経歴条件
年齢に応じた運転経歴が必要です。
【35歳未満の場合】申請する営業区域で10年以上のタクシーまたはハイヤー事業者で運転者として雇用されており、かつ、10年間無事故無違反であることが必要です。
【35歳以上40歳未満の場合】申請する営業区域で自動車の運転を専ら職業として10年以上(自動車以外の場合は50%換算)経験し、その内タクシーまたはハイヤーの運転を5年以上経験し、さらに申請日以前の3年間でタクシー・ハイヤーの運転を3年以上経験していることが必要です。
【40歳以上65歳未満の場合】申請する営業区域で自動車の運転を専ら職業として25年以上(自動車以外の場合は50%換算)経験し、かつ、申請日以前の3年間でタクシー・ハイヤーの運転を2年以上経験していることが必要です。
違反履歴
【1】申請日以前の5年間および申請日以降に、次に掲げる処分を受けていないことが必要です。また、過去にこれらの処分を受けた場合は、申請日の5年前にその処分期間が終了している必要があります。
- 輸送施設の使用停止以上の処分、または使用制限(禁止)の処分、法律または貨物自動車運送事業法に違反して受けた処分。
- 道路交通法に違反して運転免許が取消しになった処分。
- タクシー業務適正化特別措置法に違反して登録が取消しになった処分、およびそれに伴う登録の禁止処分。
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律に違反して営業の停止命令または営業の廃止命令を受けた処分。
- 刑法、暴力行為等処罰に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、売春防止法、銃砲刀剣類所持等取締法、その他これに準ずる法令に違反して受けた処分。
- 自らの行為により、雇用主が法律、貨物自動車運送事業法、またはタクシー業務適正化特別措置法に基づく輸送施設の使用停止処分以上の処分を受けた場合。
【2】申請日以前の3年間および申請日以降に、道路交通法の違反行為がなく、運転免許の効力が停止されていない必要があります。ただし、申請日の1年前以前において、反則点が1点だけついた場合(これには反則金の納付が含まれます)、または反則金の納付のみを命じられた場合については、処分を受けたものとはみなされません。
【3】(1)または(2)に該当する違反行為により現在公訴を提起されていないことが必要です。
健康状態及び運転に関する適性
個人タクシーの運転者は、次の条件を満たす必要があります。
- 公的医療機関などの医療提供施設で、胸部疾患、心臓疾患、および血圧などに関する診断を受け、個人タクシーの運転に支障がない健康状態であること。
- 自動車事故対策機構などで運転に関する適性診断を受け、個人タクシーの営業に支障がない適切な状態であること。
法令及び地理に関する知識
申請する営業区域の管轄地方運輸局長は、法令と地理に関する試験に合格した者である必要があります。なお、試験の実施については別途規定されています。
ただし、以下の条件を満たす場合、地理試験が免除されます
- 申請する営業区域において、申請日以前から継続して10年以上にわたり、タクシー・ハイヤー事業者で運転者として雇用されていた者で、かつ申請日以前の5年間に事故や違反の記録がない者。
- または、申請する営業区域において、申請日以前から継続して15年以上にわたり、タクシー・ハイヤー事業者で運転者として雇用されていた者。
資金計画
所要資金の見積もりが適切であり、資金計画が合理的かつ確実であること。
所要資金の100%以上の自己資金(自分の名前で保持された預金など)が、申請日以降も常に確保されていることが必要です。所要資金は次の1から4の合計となり、それぞれの費用は次の基準に基づいて計算されます。
【1:設備資金】
原則として70万円以上(ただし、70万円未満でも必要な設備が調達可能な場合は、その金額を所要資金とする。)
【2:運転資金】
原則として70万円以上
【3:自動車車庫に要する資金】
新築、改築、購入、または借入など、自動車車庫を確保するために必要な資金
【4:保険料】
自動車損害賠償保障法に規定される自賠責保険料(12ヶ月以上の保険期間)、および旅客自動車運送業者が事業用自動車の運行によって発生する旅客およびその他の者の生命、身体、または財産の損害を賠償するための措置に関連する、国土交通省告示(平成17年国土交通省告示503号)で定められた基準に適合する任意保険または共済の保険料の年額
営業所
個人タクシー営業の管理を行う事務所は、以下の条件を満たす必要があります。
- 営業区域内に位置し、通常の場合において住居と営業所が同一であること。
- 営業区域内において、申請日現在に居住していることが確認され、実際に営業活動を行っていることが認識されるものであること。
- 営業所の使用権を持っていること。
自動車車庫
個人タクシー事業の自動車車庫は、以下の条件を満たす必要があります。
- 申請する営業区域内に位置し、営業所から直線で2キロメートル以内にあること。
- 予定している事業用自動車の全体を収容できるスペースであること。
- 隣接する地域と明確に区別できること。
- 土地と建物について、3年以上の使用権を持っていること。
- 建設や使用に関して建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関連法令に違反しないこと。
- 事業用自動車の出入りに支障がなく、建物の前面道路が車両制限令に違反しないこと。ただし、私道の場合は、その私道の通行に関する使用権を持つ者の承認が必要であり、かつ、その私道が接続する公道も車両制限令に違反しないことが必要です。
- 必要な条件を確実に満たす見通しがあること。
その他
個人タクシー事業者は、申請日前の3年間において、個人タクシー事業を譲渡したり廃止したりせず、また、事業の期限更新を行わなかった者である必要があります。
個人タクシー組合について
個人タクシーにも組合があり、全国個人タクシー協会(全個協)や地方の支部組織、東京都内の組織などがあり、全国約80都市に30,000以上の個人タクシーが存在すると言われています。
組合に加入するためには毎月費用が発生しますが、サポート体制も非常に広範囲にわたるため、ほとんどの個人タクシー事業者が加入しています。
個人タクシー事業者としてスタートするには、どんな組合があるかサポート内容を調べ加入する組合を検討しましょう。
【組合加入で受けられるサポート】
・免許取得までの講義
・事業譲渡の紹介や申請書作成
・車両購入資金の貸し付け
・無線配車
・タクシーチケット未集金の換金
・各種提出書類の作成支援
・健康診断の補助
・共済、労災等の保険や国民年金基金
上記以外にも様々なサポートが受けられるため、満足度は高いようです。
マスターズ制度
マスターズ制度は、全国個人タクシー協会によって運営されており、高品質なタクシーサービスを提供する個人タクシー事業者を称えるプログラムです。この制度に参加する個人タクシー事業者には、「やさしさと安心、安全」を具現化する能力が認められ、マスター(三ツ星)の称号が授与されます。
この称号を得るためには、「マスター認定委員会」による審査を受ける必要があります。審査に合格することで、個人タクシー事業者はマスターの名誉称号を獲得し、自身の車両の屋上にその称号を表示することができます。これにより、顧客に対して高品質なサービスを提供することを証明し、信頼性を高めることができます。
マスターズ制度は、個人タクシー業界のプロフェッショナリズムとサービス品質向上を奨励し、お客様に安心感と満足感を提供するための重要な取り組みです。
「マスターズ制度」において、認定基準は2つのカテゴリーから成り立っています。
【基本認定基準(Basic Certification Criteria)】
これは全国の個人タクシー事業者に共通の基準であり、業界以外の有識者で構成される「マスター認定委員会」によって公認されています。基本認定基準は3つの観点から構成されています。
・基本事項
・安全運転
・良質なタクシーサービス
【地域認定基準(Regional Certification Criteria)】
これは、全国の支部が地域の特性を考慮しながら基本認定基準に基づいて独自の詳細な基準を設けるものです。地域認定基準は、地域ごとに異なることがあり、地域のニーズと特性に合致した効果的な評価項目を提供します。
これらの認定基準は、個人タクシー事業者がひとつ星からふたつ星に昇格する際、またふたつ星からマスターに昇格する際の基準となります。個人タクシー事業者はこれらの基準に適合し、高品質なサービスを提供するために努力することで、認定を受けることができます。
まとめ
個人タクシー事業者になるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。第二種運転免許が必要であり、年齢に応じた運転経歴が必要です。また、タクシー運転に使用する車両を用意する必要があり、通常は特定の仕様を満たす乗用車やミニバンが必要です。
タクシー事業を営むには、地方自治体や国の規制に従った事業許可を取得する必要があります。事業許可申請手続きを行い、許可を得るための条件を確認しましょう。保険も大切であり、事故や急病の際に備えて適切な自動車保険や商業保険を持つ必要があります。
さらに、地域の競争状況や規制に合わせて稼働を調整する必要があります。税金と経理も管理しなければならず、タクシー収入に関連する税金を支払い、帳簿を正確に管理することが求められます。また、顧客サービスの提供が重要であり、安全かつ快適な乗車体験を提供することでお客様の信頼を獲得できます。
最後に、タクシー業界は地域ごとに異なる規制があるため、これらの規制に従い、法令順守を守ることが不可欠です。地元の規制機関から詳細な情報を入手し、順守に努めましょう。これらの条件を満たすことで、個人タクシー事業者としての活動を始める準備が整います。
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